厨房男子。自炊歴30年の実力とは。
私は食い意地のはっている。朝から昼は何にしようかな、晩メシはどうしようかな、なんて考えている。栴檀は双葉より香ばし。ご幼少のみぎりから台所に立つ母親の裾にまとわりついては「今晩は何?」とか聞いて撃退されていた。 昭和の台所。うちもこんなでした。 「男の子は台所なんかウロウロしないのッ。そんな暇があったら宿題しなさい!なんですかこの間のテストの点は!!!もう、お隣の〇〇君のお母さんに恥ずかしくって。さあ早く宿題!!!」 昭和30年代はまだまだ「男子厨房に入らず」だったのだ。 このトラウマから解放されたのは大学に入って下宿してから。「台所で思う存分モノをつくっていいのだ」とばかり、京都市烏丸今出川のアパートで共同台所でルンルンと包丁を握るに至った。ところが「男子厨房に入らず」をモットーとする家で育ったもんで、メシの炊き方・味噌汁の作り方・ダシの取り方すらわからない。 こんな感じの炊事場 艱難汝を玉にす。大学4年間・社会人5年間の京都ひとり暮らしのうちに、何となく料理の基本は身に付いた。幾多の失敗があったな〜。大阪に転勤してからは、仕事で料理番組やらグルメ本の編集やらにつきあって、ウマいものを食ったりその味を分析して文章を書いたりした。料理の先生の手伝いをしたりして、さらにウデに磨きをかけて。 私生活でごたごたがあって、再び独身に戻って自炊生活を復活させて5年目にして、青天霹靂に富山市への転勤を命ぜられた。住んでみれば、地震も津波も台風も縁がない、冬が多少鬱陶しいことことを除けば、かなり住み良いところだとおもう。 クルマを持たないので市内中心部に住んでいる。平日は便利この上ないけれど、休日に営業している飲食店がやたらに少なくてね。週末は朝昼晩と、1日に3回土日で6回を厨房で過ごすことも珍しくない。 最近の自炊事情なり。シュウマイが大好物なんでしばしば卓上を賑わせる。ビール焼酎のアテにもよし。スーパー売っている「チルド黒豚焼売」を愛用。何もかもすべて手作りがいい、なんて原理主義者じゃないんでね。白菜と薄揚げの煮物、ホウレン草の大根おろし和え。いただきもののちりめん山椒を散らして。 麺類は加ト吉の冷凍うどんが美味しいのでフリーザーに常備。京都でまとめ買いした薄揚げとあわせて「きざ