6番目のユウウツ。
越中の地にも春が近づいてきた。昼間の気温が16度とかあって、外出にコートが要らない。三日間も連続で晴れている。一昨日には春一番まで吹いたのである。
春霞の立山連峰。
本来なら長く冷たかった冬のおわりを思いっきり寿ぎたいのだけれど、憂鬱なことばかり立て続けに発生する。つまらん些事としか言い様のないイライラから将来にわたる不安まで。困ったことは列挙するうちに解決策がわいたり気持ちの整理がついたりすることがあるのでそれをこの機会とする。お暇な方はごろうじあれ。
1.蕎麦屋の盛りについて。
北日本新聞社のすぐ近くになんだか民芸風の、いかにも「デキル!」雰囲気をただよわせる蕎麦屋がある。しかし店頭にメニューもサンプルもない。それが自信のあらわれかだと解釈して扉を開いたのである、勇を鼓して。
箸袋一杯に細かい文字でびっしりと店主の「こだわり」が刷り込まれている。
価格が異常。お品書きの「盛り蕎麦」が1000円もする。天ぷらそばは2800円。
違い棚に「蕎麦の薀蓄」に関する本が何冊も並べられている。
これはあかん店やと思った。
でてきた蕎麦を見て感じたことは、「過疎の集落」。盛り蕎麦のはずなのにソバが盛り上がっていない。平面的に展開している。のべっとだらしなくひろがっているのである。バーチカルでなくホリゾンタルなのである。その隙間から巻き簾の竹が青々とその肌をさらしている。二段積みになっているけど、ずるずるっとものの五回ほどもすすってしまえば食事の終了となった。
幾日か前に、毛髪の繁茂状態を確認するために合わせ鏡でみずからの後頭部を見てしまった瞬間と同じ感慨が襲ってきた。淋しい。
蕎麦の盛りと毛髪はいずれも地肌をみせてはならない。
2.PCの不機嫌について。
この三日間どういうわけかHTMLの作成機能がうまくいかず、更新がままならなかった。また自宅宛にメールを頂戴した方の文面を閲覧するのが遅れてしまった。くやしいことが続く数日であったのでせめてこの場で毒を吐いておきたかったのに。
3.乱丁落丁事件。
佐藤大輔の「パシフィックストーム3・可能行動」をアマゾンで入手した。絶版本なので貴重である。どんな長編に挑んでも三冊目で挫折することから「三冠王」といわれる作家で、このシリーズも構想自体は大長編のはずなのに三巻で閉じられている。それゆえに強引な大団円がどう辻褄を合わされているのか。興味津々で購ったのである。それが最後の30ページが乱丁かつ落丁で閲読不能となっていた。この欲求不満。
私が尊敬する石川県出身の作家佐藤大輔については、wikiなどでお調べください。ちょっと危ないジャンルの大家なので、ここでは多言を慎みます。
雪国にもまもなく猫恋の季節が
4.偉大なる首領様事件
頭髪が乏しい人間が、だらしなく髪が伸びると余計に貧相になるので思い切って散髪へ行った。富山駅前に女性理髪師の店があって、丁寧な仕事にいつも感服しているので今回もお任せにした。
ただ一つ付けた条件は「なるべくふんわりと見えるようにね」
彼女は奮闘してくれたのだと思う。裸眼では左右ともに0,01の視力しかないので作業すべてが終了するまで私には途中経過がわからない。
たしかに仕上がりでは盛り上がっておりました。先ほどの蕎麦屋に見習ってほしいほど。でも女性の仕事だけあってなんだかやさしく仕上がって、若い女性お好みの「盛り髪」みたいになっちゃったんだよねえ。
もっとびっくりしたのは翌朝で、寝ぼけ眼でのぞきこんだ鏡の向こうにはまごうことなき北の国のあの首領様のお顔があったのである。これには参りました。これを鎮めて個体識別が間違わないように修正するのは六カ国協議に匹敵する難事となり、危うく遅刻するところとなった。
5.藤田まこと逝去
くわしくは前稿をご覧ください。訃報に接してしばらく落ち込んでいました。
来月くらいCATVの時代劇チャンネルや衛星劇場で特集が組まれるんでしょうねえ。見落としたくないけれど見ると悲しいし。フクザツ。
6.人生50年初体験の憂鬱
2月に入って以来ずっと喉の具合がおかしく、こまっていた。生来扁桃腺が弱いのでここが炎症を起こすとたちまち発熱につながる。だからクラリス・フロモックス・ロキソニンは常備しているのだけれど、今月はひどかった。週末を二回寝込んで過ごしたほどである。何か大病の前兆ではないかとさえ疑念を持った。まあ寿命に執念はないけれど、喉が痛いと酒を飲んでもおいしくないしタバコをふかしても更に痛みが増すだけで、これはとても困ったことなのである。おまけにカラオケにも行けないではないか。
意を決して先日、ネットでも評判の良い耳鼻咽喉科をおとずれた。うちの義弟に似た優しい容貌の医師は、あちらの穴を覗きこみこちらの穴をこじ開けて診察し、さらには発熱症状が起きた日取りを確認していわく、
「だいたい熱を出されているのが、雪が降らなかった日の翌日ですね」
「言われてみればそうですね」
「たぶん鼻詰まりが原因で口をお開けになったままお眠りになったたんでしょう。それで咽頭が乾燥して炎症を起こしたのです。だから喉の治療より鼻詰まりの原因に対処しないと」
「鼻詰まりの原因はなんでしょうか。なにか重病の前兆とか」
「重病じゃないけどやっかいですね。ながくかかりますし、花粉症は」
人間五十年化転のうちを比ぶれば豈滅せぬもののあるべきや~
まもなく50年の人生で初めての花粉症体験なのである。雪に降りこめられた富山でなぜか発症してしまったのである。気の毒な(富山弁でなく)サンドフォード・アンド・マートンことスティヴィングス少年のことを思わずにいられない。無念であります。
春霞の立山連峰。
本来なら長く冷たかった冬のおわりを思いっきり寿ぎたいのだけれど、憂鬱なことばかり立て続けに発生する。つまらん些事としか言い様のないイライラから将来にわたる不安まで。困ったことは列挙するうちに解決策がわいたり気持ちの整理がついたりすることがあるのでそれをこの機会とする。お暇な方はごろうじあれ。
1.蕎麦屋の盛りについて。
北日本新聞社のすぐ近くになんだか民芸風の、いかにも「デキル!」雰囲気をただよわせる蕎麦屋がある。しかし店頭にメニューもサンプルもない。それが自信のあらわれかだと解釈して扉を開いたのである、勇を鼓して。
箸袋一杯に細かい文字でびっしりと店主の「こだわり」が刷り込まれている。
価格が異常。お品書きの「盛り蕎麦」が1000円もする。天ぷらそばは2800円。
違い棚に「蕎麦の薀蓄」に関する本が何冊も並べられている。
これはあかん店やと思った。
でてきた蕎麦を見て感じたことは、「過疎の集落」。盛り蕎麦のはずなのにソバが盛り上がっていない。平面的に展開している。のべっとだらしなくひろがっているのである。バーチカルでなくホリゾンタルなのである。その隙間から巻き簾の竹が青々とその肌をさらしている。二段積みになっているけど、ずるずるっとものの五回ほどもすすってしまえば食事の終了となった。
幾日か前に、毛髪の繁茂状態を確認するために合わせ鏡でみずからの後頭部を見てしまった瞬間と同じ感慨が襲ってきた。淋しい。
蕎麦の盛りと毛髪はいずれも地肌をみせてはならない。
2.PCの不機嫌について。
この三日間どういうわけかHTMLの作成機能がうまくいかず、更新がままならなかった。また自宅宛にメールを頂戴した方の文面を閲覧するのが遅れてしまった。くやしいことが続く数日であったのでせめてこの場で毒を吐いておきたかったのに。
3.乱丁落丁事件。
佐藤大輔の「パシフィックストーム3・可能行動」をアマゾンで入手した。絶版本なので貴重である。どんな長編に挑んでも三冊目で挫折することから「三冠王」といわれる作家で、このシリーズも構想自体は大長編のはずなのに三巻で閉じられている。それゆえに強引な大団円がどう辻褄を合わされているのか。興味津々で購ったのである。それが最後の30ページが乱丁かつ落丁で閲読不能となっていた。この欲求不満。
私が尊敬する石川県出身の作家佐藤大輔については、wikiなどでお調べください。ちょっと危ないジャンルの大家なので、ここでは多言を慎みます。
雪国にもまもなく猫恋の季節が
4.偉大なる首領様事件
頭髪が乏しい人間が、だらしなく髪が伸びると余計に貧相になるので思い切って散髪へ行った。富山駅前に女性理髪師の店があって、丁寧な仕事にいつも感服しているので今回もお任せにした。
ただ一つ付けた条件は「なるべくふんわりと見えるようにね」
彼女は奮闘してくれたのだと思う。裸眼では左右ともに0,01の視力しかないので作業すべてが終了するまで私には途中経過がわからない。
たしかに仕上がりでは盛り上がっておりました。先ほどの蕎麦屋に見習ってほしいほど。でも女性の仕事だけあってなんだかやさしく仕上がって、若い女性お好みの「盛り髪」みたいになっちゃったんだよねえ。
もっとびっくりしたのは翌朝で、寝ぼけ眼でのぞきこんだ鏡の向こうにはまごうことなき北の国のあの首領様のお顔があったのである。これには参りました。これを鎮めて個体識別が間違わないように修正するのは六カ国協議に匹敵する難事となり、危うく遅刻するところとなった。
5.藤田まこと逝去
くわしくは前稿をご覧ください。訃報に接してしばらく落ち込んでいました。
来月くらいCATVの時代劇チャンネルや衛星劇場で特集が組まれるんでしょうねえ。見落としたくないけれど見ると悲しいし。フクザツ。
6.人生50年初体験の憂鬱
2月に入って以来ずっと喉の具合がおかしく、こまっていた。生来扁桃腺が弱いのでここが炎症を起こすとたちまち発熱につながる。だからクラリス・フロモックス・ロキソニンは常備しているのだけれど、今月はひどかった。週末を二回寝込んで過ごしたほどである。何か大病の前兆ではないかとさえ疑念を持った。まあ寿命に執念はないけれど、喉が痛いと酒を飲んでもおいしくないしタバコをふかしても更に痛みが増すだけで、これはとても困ったことなのである。おまけにカラオケにも行けないではないか。
意を決して先日、ネットでも評判の良い耳鼻咽喉科をおとずれた。うちの義弟に似た優しい容貌の医師は、あちらの穴を覗きこみこちらの穴をこじ開けて診察し、さらには発熱症状が起きた日取りを確認していわく、
「だいたい熱を出されているのが、雪が降らなかった日の翌日ですね」
「言われてみればそうですね」
「たぶん鼻詰まりが原因で口をお開けになったままお眠りになったたんでしょう。それで咽頭が乾燥して炎症を起こしたのです。だから喉の治療より鼻詰まりの原因に対処しないと」
「鼻詰まりの原因はなんでしょうか。なにか重病の前兆とか」
「重病じゃないけどやっかいですね。ながくかかりますし、花粉症は」
人間五十年化転のうちを比ぶれば豈滅せぬもののあるべきや~
まもなく50年の人生で初めての花粉症体験なのである。雪に降りこめられた富山でなぜか発症してしまったのである。気の毒な(富山弁でなく)サンドフォード・アンド・マートンことスティヴィングス少年のことを思わずにいられない。無念であります。
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