なぜか好き。E.E.キャンベラ。

すでに姿を消した航空機メーカーにイングリッシュエレクトロニック(E.E.)なる家電メーカーみたいな名前の会社があって、ここの作品である「キャンベラ/マーチンB57」が好きですね。「世界の傑作機シリーズ」では146冊目にしてようやく掲載の運びとなった。


設計者はテディ・ペッターで、1950年代の英国を代表する飛行機設計者。キャンベラの他にも超音速戦闘機ライトニングとか、小型戦闘機のフォーランド・ナットなんかも設計していたな。英国航空界が一番元気だった頃。



シドニー・カムとペッターの2人がいなくなってから、英国の航空産業はクリエイティブさを失ってしまった。たった2人が前線から引退しただけで産業がひとつ凋落したわけで、やっぱ個人の力は偉大です。


優れた人は早死にするのね。ペッターも59歳で濃い人生に幕を下ろしてしまった。スティーブ・ジョブズもそうだけど。天は人の才能を妬んで早世させてしまうのかしら。キャンベラはその性能が評価されてアメリカの制式爆撃機としても採用されマーチンで量産された。英国の外貨獲得に一役買った孝行息子でもある。


キャンベラは傑出した技術で作られた、コンセプトカーみたいな飛行機ではない。ジェット機がまだ発展途上であることを見越して、将来の改良/発展型の需要を見込んで不要と思えるほどの頑丈な構造設計と、手を加えやすい冗長性をもたせていた。おかげで本業も爆撃以外にも、偵察機・電子戦機・高高度スパイ機など多種多様に改造され、それぞれで活躍した。


低アスペクト比の直線翼ながら、翼面積が大きくて低翼面加重だったのでことのほか運動性が良く、地上砲火からの回避能力が高かったので被害率が低かった。人命重視だったから、マーチンベーカーのゼロゼロ射出笹席を導入したのも本機がはじめて。

キャンベラのごとく、手持ちの技術を最大限に生かして組み合わせ、使う側の利便性・安全性・改良に耐える冗長性を考えておくことは、商品開発においてもっと考え抜かれても良いと思う。たとえばパソコンにしてもMSからMacに乗り換えるとその辺がよくわかる。


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