牛丼にはじまりスキヤキに終わる。

年度末もいよいよ大詰めとなってまいりまして、決算やら来年度予算やらのお仕事で東西奔走七転八倒の毎日でござんす。窓際サラリーマンと言え、一年間の不始末の整理や、来年度のシノギを立てるご相談事などがそれなりにたまっておりまして。


気ぜわしいと、のんびりメシを喰う気にもなりませんで。週アタマの月曜からお昼ごはんにこんなものを頂いたりもいたします。吉野家の牛丼に半熟玉子。これウマイのよね。待ち時間二分、喫食時間三分。実に素晴らしい。


上司に数字の言い訳をするためにわざわざ大阪本社へご出張なんであります。朝イチからなので前夜ちゅうに大阪へ。県庁所在地では、富山が大阪から一番時間的に遠いから仕方ない。那覇や札幌から飛行機で飛んだほうが早いんだもの。べつに鉄道好きの私はちっとも困らないけど。

缶ビール二本でお弁当を頂きます。富山駅「源」のお花見弁当、1000円のところが賞味期限ぎりぎりだとかで30%オフでした。しかし桜が咲くのはいつのことやら。


まあ彩りも華やかな弁当です。酢飯が少し甘いかな。でも女性客向けかもしれない。ビールとともに嚥下して、まあ五分強のお食事時間。業界的に弁当ひとつ食うのに五分以上かけていたら先輩から鉄拳制裁があってもおかしくないところなんで、入社以来三十年こんなことだけ習熟しております。良いことなのか悪いことなのか。わからん。


定宿のリーガロイヤルホテル。この日はやたらに混み合っていたとかで、深夜にチェックインしたらいつものウェストウィングのシングルじゃなくてタワーウィングのダブルに案内された。前もって言ってくださっておれば、ひとりじゃ寝ずにウフフフするのにね(虚勢かよ)。

お仕事は午前の部(打ち合わせ)、午後の部(大会議)と滞りなく。半月かけて言い訳を考えていたけど、そこへ辿りつく前に事実を看破されました。だてに役員賞与もらってらっしゃる訳じゃないんですね。


楽しいお仕事が終わって、懇親会やら二次会やら三次会やら。寝不足のまま有馬ロイヤルゴルフクラブへ行ってまいりました。日ごろ行ないの悪い連中が集まってのコンペですからね。途中で雹はふってくるわ寒くて震えるわ。18ホールあがって風呂に入る頃からお天道様がさんさんと陽を降りそそぎ出したのは、高松支社長の悪品行か神戸支社長の悪品行か。

ゴルフへ行って、また懇親会になって(借問す、私は一体いつ仕事してるんでしょう)、最終のサンダーバードで富山へ戻るつもりが、酒の流れに押し流されて。しかしこの日、橋下大阪市長ひきいる「維新塾」が大阪で行われていたせいで、あらゆるホテルが満室。やむなく緊急事態で兵庫県川西市の実家に一夜の宿を借りたのでした。


深夜に実家を襲撃して(ご老体二人には迷惑以外の何者でもないですからね)、翌昼過ぎには撤収しました。何しろ日本海側に低気圧が接近しており、気まぐれな特急列車がどんだけ遅れるかわかったものじゃない。能勢電鉄で阪急川西能勢口へ。環状線でもないくせに褶曲しているのが特徴です。


実家できつねうどんの昼飯をしたためた一時間後だというのに、十三駅でいったん電車を降りて「阪急そば」へ。桂米朝師匠もご愛用だったこの店の立ち食いそばは、独特の味わいがありまして、けして美味しいわけじゃないけど、郷愁を呼びおこすんですね。学生時代はほんとによく喰ったなあ。天ぷらそばが「くろ天」、天ぷらうどんが「しろ天」と呼ばれてました。


なんとか14時42分のサンダーバードに間に合わせまして、車中では缶入りのハイボールとごぼうスナックでひと息。しかし列車がびわ湖畔にさしかかる頃、急に減速いたしました。「雪のため先行列車が遅れております」との無情なアナウンスが。


さすが裏日本有数の豪雪地帯だけあって、今庄付近では山すそに雪煙が上がり、地表は50センチほどの積雪と見受けられました。うーん、これじゃ富山も無傷ではあるまいと、覚悟も決めておりましたが。

15分遅れで富山駅へ戻ってみれば雪はちらつく程度で、ひと安心。帰宅するなり自転車漕いでスーパー「大坂屋ショップ」へ。何といってもオモテ日本と気温が5℃は違います。寒いのなんの。こいつぁ鍋しかあんめいが、と出所不明の方言を呟いて、メニューはスキヤキにしました。


しゃぶしゃぶ用の国産牛赤身肉が、閉店前の投げ売りで1パック150グラムで380円。元値からすると半値八掛け五割引って感じ。煮えた野菜を薄い肉でクルッと巻いて、生卵くぐらせたらこれはもうトレビヤンでございます。ビールに焼酎で大満足の週末ディナー。赤身肉は体温が上がってあったまりますしね。

気分よくたっぷり眠った翌朝は、街なかに住んでいるのに妙に静かな朝。空から吸音材が降ってきたなと直感して、カーテンを開いてみればごらんの通り。悪い予感はよくあたるのです。


ぎゃーん。もう3月も末ですよ。「暑さ寒さも彼岸まで」ってのは、オモテ日本の限られた土地でしか通用しないタワゴトなのね。

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