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北方謙三「岳飛伝③」読みつつ東京へ。「だんだんめん」とは。禁酒禁煙と牛鮭定食について。

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仕事上色々と片付けなければならんこともあり、東京へゆく。富山からなら特急「はくたか」で越後湯沢へ上越新幹線に乗り換えて東京へ。ざっと3時間ほどの道程は、読書によしヒルネによしお食事によし。 北方謙三の「岳飛伝」は荒唐無稽ぶりがますます進化している。梁山泊と金国の闘争はすでにSFの領域に入った。右腕を切り落とされた岳飛が、特殊な義手で以前にもまして剣の腕を上げたりして、ほとんどモビルスーツの世界だよね。 秦容が軍を抜けて南方へ新天地を求めるくだりは、「水滸後伝」をなぞっているように見受けられるし。でも話の運びがずばぬけて巧いから、いつも一気呵成に読んでしまうんだな。 読書しながらのお食事は新潟新津駅三新軒の「鮭の焼き漬け弁当」で、北陸エリアで買える駅弁のまずはNo1だと確信している逸品。仕事が控えてなきゃ冷酒の一本でも付けたいところやけど、渋茶で我慢する。私は酒好きだけれどアル中ではないので。 東京での仕事場から浜離宮を見下ろして。高所恐怖症なのでビルの41階で打ち合わせなんてとんでもないことなのだ。しかし恐怖心を押し隠してお仕事に励むのでした。実りの多い4時間なり。とはいえ下りのエレベーターでは足が震える始末。いっそ飛行機は平気なんだけど、ビルの高層階はいつまでたってもあきませんなあ。 夜は仕事仲間と築地で寿司。鮮度抜群の富山の寿司もいいけれど、きちんと熟成させた身でしっとりと握る江戸前もいいですねえ。しかるべき寿司屋で寿司の写真を撮るほど無作法じゃないんで、旨い寿司についてはご想像におまかせします。そのあとは銀座の行きつけへ。 ホテルにも朝飯がついているんだけど、せっかく築地に泊まっているんだもの。朝の場外市場へ赴いて、鮪丼で朝食。海苔の味噌汁付で1134円はお値打ちですね。なんといっても鮪のお味はさすがに築地であります。 午前中もせっせと仕事に励み、時分どきになったので後輩F君を誘って銀座「はしご」へ。ざっと25年前に、当時東芝ビルの地下にあったこの店で「だんだんめん」を食してこんなウマいラーメンがあるんだと衝撃を受けてしまいました。以来、銀座界隈にいるかぎり、昼と言わず深夜と言わず機会があれば襲撃をくりかえしております。 この日は「ぱいこうだんだんめん」で、排骨(パイコー)と呼ばれる中華風の豚

塩麹・氷見寒ブリ。ああ極楽。

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 3泊4日の関西出張から帰ってくると、越中はすでに初冬の空気感がただよっていて。西町交差点から立山を仰げば尊し。これしか売り物のない土地やけど、これだけは立派やと思う。 アアそれだけじゃないか。富山湾の海の幸も名物であったか。そういえば北日本新聞に「氷見で寒ブリあがる」って出ていたっけ。で、愛する大和百貨店へ赴いて、氷見寒ブリ(もちろん天然モノ)を購ってきた。ふた切れで798円は高いのか安いのか。 せっかくの天然モノに照り焼きも失礼だし、ここはひとつ話題の調味料「塩麹」を使ってみることにした。とにかく魚でも肉でもやたらに旨くなるらしい。 ブリの身に塩して10分。全体に塩麹をまぶして(ひと切れに大匙1杯見当)、ざっと2時間ほど冷蔵庫に放置する。その間に副菜の準備。昨夜は小松菜と薄揚げの煮びたしにホウレン草のおひたし。ゆでたホウレン草にかけまわすのは、醤油じゃなくて自家製の出汁入り加減醤油。 大根をおろして、すだちを用意して、準備万端を整えてからブリに火を入れる。後片付けが面倒だから、フライパンにクッキングシートを敷いて蓋をして中火でざっと6分間。良い加減に焼きあがった。甘気のない西京焼きって感じで、これは確かにウマい。 ああ極楽。ビールによく焼酎によく。ナンボでも飲みそうになったので、半切れを残して撤退。飯にもよさそうだったので孝明天皇の故事に倣って翌朝のオカズとした。結果的には飯にも最高で、この大流行の「塩麹」これからしばしば食卓を演出しそうな気配であります。

晩秋の京都で紅葉狩りに舞妓あそび

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晩秋の京都へ行ったのである。お仕事も確かにございました。でもほとんど遊びほうけておりました。遊びをせむとや生まれけむ。だって第二の故郷だもん。なつかしのスポットにも行かないと。 11月中旬から下旬の京都はなんと言っても紅葉狩り。昼夜の寒暖の差が大きい盆地気候だからか、京都は山まで行かなくても平野部で十分にもみじが色づく。お勧めのスポットは銀閣寺~哲学の道~南禅寺~真如堂というコースなのだけれど、時間の都合で今回は南禅寺だけ。それでもけっこう堪能いたしました。 あとは岡崎地区の文化施設でお仕事。市立美術館の大エルミタージュ展も行ってみたかったけど。何しろ17時までに片付けないとあとの宴会に差し障るし。 宴会料理は量が多すぎて私には厳しく、半分も食べられず。まあ目的は親善だからね。ウマイものをちょびちょび並べて楽しむのはプライベートにとっておこう。2次会で行った祇園のクラブでは舞妓さんにご出張を願って、それはそれで盛り上がったし。 さらに皆さんと別れてから、かれこれ30年ちかく通っているお茶屋さんを久しぶりに訪問。三分の一世紀ほど前は美人芸妓で鳴らしていた女主人がいいあんばいで年を重ねていて、昔話に花が咲いた。ええもんですね、歳月を重ねるのもあながち無駄なことばかりじゃないと納得いたしました。 しかしよく練れた女性の京都弁というやつはある種のキラーコンテンツですな。

朝からがっつり。釜揚げ・ラーメン・豚汁定食に蟹めし。

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知力腕力は皆目ないのだが、体力だけは相当にあるらしい。連日連夜深夜明け方まで飲み歩き、西へ東へ南へと出張を重ねているからなあ。先週は月曜日がお得意先のゴルフコンペで火曜日は明け方まで飲み歩き、水曜木曜は大阪で仕事。土日は社内のゴルフで富山金沢と2ラウンド。日曜の夜に金沢から名古屋へ行って深夜までお仕事、明けて月曜は名古屋~東京~越後湯沢~富山と渡り歩き。火曜水曜は福井へ。 じっとしているより動き回っているほうが好きだから、本人はなんということもないのだけれど、周囲には奇異に見えるらしい。「どこにそんなスタミナが」と言われるから、本人は「朝メシがすべてです」と答えることにしている。たとえば大阪では釜玉うどんにバッテラ3切れなどというステキなメニューも朝から食える店があるし。 午前5時から11時までは朝食を出している、天満の中華料理屋「十八番」じゃ野菜ドカ盛りの豚汁に丼飯でわずかに350円である。それに納豆とかキムチをつけると完璧なスタミナ食となる。問題は朝起きてから喰うのでなく、往々にして明け方まで飲んで騒いでとどめにこいつを食う事態がしばしば発生することにある。酔眼こらして曽根崎あたりからフラフラ歩いてくるとちょうどいい感じなんだな。 富山は新米の季節。たきたてのコシヒカリや八丁米はたまらんウマさなのだが、ときに米ビツが空っぽと言う事態が発生する。経済的理由ではなく、多忙で買い物にもいけないことが原因である。ちなみに先週何とか営業中にスーパーによって立山米3キロを購ったので、今は何の問題もない。 ただコメがきれると純和風の朝めしを作るわけにいかず、世間で評判の「マルちゃん正麺」なんかを作ったりする。チャーシューとかメンマはセブンイレブンにでも売ってるから。いくら買い物難民でもこれくらいは作れるのである。あまり朝めしらしくはないけどな。味栄養は問題ない。いいじゃない、朝からラーメンでも。本人が喰いたければ。 出張の朝は忙しいから、富山駅構内にある「源」直営の「立山そば」ですませることも往々である。ここでは「源」謹製の「ますのすし」を添えて蕎麦をすすると言う、富山でしかできない贅沢が可能で、県民であることの幸せを文字通りかみしめることになる。 ゴルフの朝なんか、出し巻きをつくったりご飯を炊いたりする時間がないから、

駅弁の傑作とは。明智光秀と天下一品。鬼退治。

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(前略) ヒガシニケンカヤソショウガアレバ、ツマラナイカラヤメロトイヒ。 (後略) サフイフヒトニワタシハナリタイ。 そういうわけで揉め事の渦中にあったわたくしは、午前11時16分富山駅発のサンダーバード22号に乗り込んだのだった。前夜は桜木町の居酒屋「銅泉」〜スナック「松本」〜新世界のスナック「リトルバード」〜とどめに新世界の謎の店「無頼漢」へとハシゴして午前3時のご帰宅だったから当然二日酔いでありました。まあ酒でも呑んどらんとやっておれないような話ではあるんだけど。 さような体調の時に最もスッキリするのが「カルピスソーダ」だったりして。グビッとやって暫時「邯鄲夢の枕」とまいります。小一時間ほど熟睡すれば、重たかった胃もなぜか軽快に動き始めたりなんかして。 富山駅で購入しておいた「幕の内弁当・立山連峰の夜明け」。700円の幕の内にしてはタイトルがすこし重すぎる気もいたしますが。 お野菜中心でカロリー低めのこの幕の内はいつ食べても感心しきり。新潟の「鮭の焼き漬け弁当」とならんで日本海側ハイパフォーマンス駅弁の双璧だな。 弁当を使う窓の外には、晩秋の琵琶湖風景が。 「我ならで たれかが植えん ひとつ松 心して吹け 志賀の浦風」 明智光秀という人は上司の心を読むのが下手であったようで。目と鼻の先で主君が叡山の僧兵相手に苦闘しているのに、何ともノンキな歌を詠んだもんですね。私ですら、ネットに露出する言説にはかなり気を使って、間違って上司が読んでも笑って済ませてもらえるように気遣っているのに。 そういうわけで神経のすり減るようなお仕事のあとは、美女を相手に放歌高吟がなによりでございます。大阪市北区の某店で。先輩二人と「おっさんロックンロールショー」を繰り広げました。日本語の歌は禁止。「ロック」に分別される外国の歌だけで終電まで盛り上がったのなんのって。 53歳と54歳クィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をコーラスちゅう。翌日は3名ともに声がかれて、「風邪ちゃうかな?」って、そんなん歌いすぎなだけですやん。 酔った勢いで「天下一品」を襲撃。18〜26才の間を京都で過ごしたせいかたまに無性に食べたくなるんです。ええ翌日の胃腸にどんな深刻な影響が出ようとも。なにしろ晩メシは野菜炒め

漁師町と蜃気楼、猫とチャーシューメン。

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11月はもう晩秋と言ってもいいのだろうか。昼間の最高気温が10度ほどにしか上がらないなか、魚津方面まで営業に。高波注意報が出されるほどの波じゃないけど、波頭にウサギが飛んでいる。風速で5メートルくらいか。おかげで体感気温は相当に低い。 寒いし、腹は減ってきているし。かねて魚津漁港の近くに昭和がそのまま凍結したような大衆食堂があると聞いていたので、道に迷いながら行ってみた。 店内の様子。確かに昭和が張り付いたまま静止している。珍しくスーツ姿の客がいるけれど、普段は地元の漁師がほとんどで、ジャージか作業服だから、こんな格好でいると奇異の眼で見られるらしい。 いまどき「大衆食堂」と悪びれずに看板を上げているのがすばらしい。バブルの果ての一億総中流意識が、結果的に格差社会をもたらしたことはここで語るのも馬鹿馬鹿しいが。「大衆」、いい響きじゃないですか。ちなみに店名の「四十萬」は「しずま」と読むのだとか。 チャーシューメン740円をいただく。6時間かけて煮出すという鶏がらベースのスープはあくまでも透明に澄み切っている。いいかんじに塩っぽくて「漁港の味」という感じがする。潮風に吹きさらされたあとに啜りこんだらたまらんだろうな。向かいで同僚のF君が食していた「野菜ラーメン」はポーチドエッグと野菜のバランスがさらにウマそうだった。次回はそっちにしようと決意。 店を出たらこんな猫が見送ってくれた。かなり近寄って撮影したのだけれど、逃げもしない。食料豊富な漁師町で、いじめられることもなく育っているのか。人なつこい猫に出会うと、その日いちにちがなんだか幸せな気分になる。不思議だにゃあ。