激辛修験道

「ビストとネギ」、なんのことでしょう。おわかりになったら大したものと思うがです。どこかの国の童話のタイトルみたいでもありますし。




富山市上飯野にあるインド料理屋さんだったんですねえ。ビストさんがシェフ、ネギさんがホール担当で。いずれも北インドご出身なんです。ここに先日、わが営業所が誇る怪物胃袋のもちぬし、I青年が行ってきて、「うまい。特にナンがうまい」と感嘆していたのにインスパイアされまして。これは行かなあかんと。

仕事には重い腰が、こういうことになると羽毛のごとく軽くなるの。クルーザーが突如ディンギーに変身いたします。近くのカーディーラーに仕事で顔を出す用事があったことを強制的に思い出して、営業ついでと自己欺瞞をはかりつつ風のごとく軽快に出撃。




薄手に焼き上げられたナンは、表面にバターオイルが塗られていて、カリリとした部分としっとりとした部分の対称性がおもしろい。二種類選択ができるカレーは、チキンとポーク。インド人が運営しているだけあって、当然ビーフカレーはありまへん。ナンの上にごろんと乗っかっているのはタンドリーチキンで、これほどたちのいいヤツには富山で初めて遭遇いたしました。

ギーとヨーグルトで煮込まれたカレーは、かなり旨い。ちょっと重いけど。ナンとの相性がよくって特撰レベルの90点。このセットにお好みで選べるドリンクがついて800円はお値打ちじゃありませんこと、奥様。

いちおう「激辛」で頼んだのだけど、ネギさんからは「大丈夫ですか」と言われたんで、辛さに期待をしていたんですが、辛味の方はまだお昼寝中のレベルでした。



卓上のカイエンペッパーをバサバサ振りこんでいたら、ネギさんが丸い眼をさらに丸くして「足りなかったデスカ」と寄ってきた。「足らん足らん」とこたえると「今日のは辛さ4倍ネ。初めてきてこれを平気で食べたのアナタ初めて。デモ大丈夫。ウチ、言われれば12倍までツクルヨ」

次回はとりあえず8倍に挑戦することを約して店を出たのでした。


そうそう、日曜日には自宅で担担麺を作っていたのでしたっけ。インスタントの醤油ラーメンに、自家製の麻婆ひき肉をのっけて。更に芝麻醤・豆板醤をたっぷり。桃屋の「食べる辣油」を大匙一杯。花椒・粗挽き胡椒。さらに石垣島の赤唐辛子。いやまあ辛いの辛くないのって、越中の冬でも汗かきました。食べながら、自分の食道と胃袋の形状がリアルに感じられます。




いつぞやの前作よりもはるかにパワーアップいたしました。大汗かきながらの激辛道に一意専心邁進したい方はいつでも拙宅へお越しください。高血圧と痔疾のオーナーはご遠慮された方がいいかもしれません。

かのように恒心をもって、真摯に激辛道に修業を重ねているのに、激辛側から叛乱をうけることもございます。たとえば。一昨日、隣のビルにある蕎麦屋で「カレー蕎麦」を注文し、例によって一心不乱に一味唐辛子を振りかけておりましたら。突然右目の視界が真っ赤に。そして激痛。





太陽が予告なく赤色矮星に進化して、視神経が焼けてしまったかと思いましたよ。

メガネと頬骨の間から、唐辛子の砕片が飛び込んでしまったのですね。痛いの痛くないのって、アナタ。なにが悲しゅうて50オトコが涙流してカレー蕎麦を喰わんとあかんねん。一方的な愛は、いつも報われないものなんですねえ。

愛は いつの日も 捧げるものだから じっと耐えるのが 務めと信じてる 

三善英史「雨」、懐かしいっす。

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