ヴェルレーヌ気分さ。
越中は晩秋。物想う季節でありますが、仕事上のこととはいえ精神的なショックが襲ってまいりました。夕暮れのいたち川沿いを、黄昏ながらさまよう初老の男となったのです。
ヴェルレーヌ 「落葉」 上田敏 訳
秋の夜の ヴィオロンのため息の
ひたぶるに 身にしみてうら悲し
鐘のおとに 胸ふたぎ
色かへて 涙ぐむ
過ぎし日の おもひでや
げにわれは うらぶれて
ここかしこ
さだめなく とび散らふ 落葉かな
川面をたゆたう、鴨が二羽。普段ならほとんど食欲からの目線で、スキヤキにしてやろうか、鴨南蛮にしてやろうか、オレンジ煮も悪くないなと思うのだけれど、自分があわれに見える日は、生類にも憐みの目線をなげかけてしまう。
恒心なければ恒産なし。よこしまな心を持たずに接しておれば、人を恐れぬハイドパークの鳥たちのように、鴨だってすり寄ってくるではないか。愚か者は、一日悩んで百日を後悔して過ごす。私は百日を悩んで後悔は一日にとどめることにしよう。 いい酒の一杯ものんで、さ。
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