甲子園、見ちゃうんだよねえ。

東北高校、よく頑張ったね。被災後は1日におにぎり2個で、甲子園直前なのに練習を返上してボランティアに参加して。対する大垣日大も、世間の判官びいきが集中する東北を相手に、手を抜かずに正々堂々よくやりました。試合開始サイレンが鳴る中の初球ホームランなんて、無心にバットを振り抜かないと打てないでしょう。おじさんたちはこういう美談が大好きだ。涙腺がじんわり。








ただこのご時世、美談と涙ばっかりじゃ疲れてしまいません?被災地が大変なのは充分承知のつもりですけど、どうしたって今回の災害は長期戦になりそうやし。自分でやれることを日々積み重ねるしかあらへん。泣くがいやさに笑い候、なんて言葉もあります。硬直は疲労を呼ぶばかりやし。

笑いましょう。満面の笑顔って訳に行かないので、ちょっとだけでも。




微苦笑の天才といえばいしいひさいち。「バイトくん」「タブチくん」から「ののちゃん」まで、このひとの芸歴も長いですね。政治家・哲学者・忍者にいたるまで、いろんな業界の漫画を描いていますが、対象が高校野球でも毒のある筆力がすばらしい。

あれは2004年8月の甲子園。桐生第一と岡山理大付の試合は本当に面白かった。いしいひさいちがそのさらに昔に書いたマンガそのものの試合展開だった。私が書くより雑文サイト「鉄血くだらな王国」の下條さんが書いた文章の方が、はるかに秀逸で味があるので引用いたします。途中でハラをたてずに最後まで読んで下さいね。

今日は高校野球でいい試合を見た。ふつう馬鹿試合というのは大量点の取り合いを指すが、桐生第一と岡山理大付の試合は、馬鹿がやる試合という意味合いもこめている。岡山理大付は監督以下全選手が馬鹿だった。飛び出したランナーに目もくれず一塁に投げてしかも暴投する投手、落球しまくる捕手、センターの送球を正拳突きでとんでもない方向に転がすセカンド、ランナーがタッチアップもしていないのに意味もなく本塁に暴投してわざわざ生還させてあげるレフト、のたのたと球を追ってしかもこぼして一塁で済んだランナーをわざわざ二塁に送ってあげるセンター、そして投手の球がうわずってボコボコに連打されて素人が見てもダメなのに交代させずに1イニングに7点取らせてやる監督。ああ面白かった。ありがとう岡山理大付。ビバ岡山理大付。頼むから甲子園に来るな。
しかもそれで勝つし。勝つなよ。あんまりだよ。
昔、いしいひさいちの「がんばれタブチくん」で、まったくこの試合と同じ四コマ漫画を読んだ記憶がある。


自然が芸術を模倣するというのか、はたまた事実が空想(妄想)に追いつくというのか。さすがは泰斗いしいひさいちであります。ただ、私も覚えてる・下條さんも覚えていた4コマが、どこをどう探しても出てこないねんなあ。

しかし、どこをひねってもつらいニュースが出てくる中で、週末は甲子園を観ることでずいぶんと気持ちがなごみました。上手い下手を超えて、見入ってしまうものがあるんですねえ。高校野球に魔力あり。甲子園に魔女あり。素敵です、高校球児。

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