三浦しをん、車谷長吉、北方謙三。福島原発「メルトダウン」。ヘビーな読書とお気楽な北日本新聞と。

読書するのにライトもヘビーもないもんだが。最近凝ってる三浦しをんの「むかしのはなし」は平成版雨月物語って感じで、スイスイと読んでしまった。話の展開がホントにお上手だよな。いいアフォリズムもあった。「偽りを演じ続ける刺激が、人生を豊かにする」


生まれたのは姫路近郊の人気の荒い土地で、水呑百姓だった。生まれついての慢性蓄膿症で鼻呼吸ができない。苦しくてたまらないけど自殺する根性もなかった。生涯の8割を極貧ですごし、近年になって小説が売れて金が入ると強迫神経症を患った。人生に救いなんてない。苦しさだけしかない。そんな男の人生相談、よく朝日新聞が平気で掲載していると思う。読んでもちっとも救われない上に、思い切り気落ちするヘビーな本であるな。


「水滸伝」全19巻、「楊令伝」全15巻に引き続いての宋代クロニクル「岳飛伝」がついに4巻目に突入した。今回は話がまるで散弾銃のごとく、いろんなエピソードが乱立している。でもいつの日かこのシリーズが「楊家将」「血涙新楊家将」につながるのか興味津々なので、きっと全巻集結まで買い続けるんだろうな。楊六郎の吹毛剣が楊令に渡るまでの謎がどっかで解き明かされるはず。


ヘビーな本というのはこの「メルトダウン」のことなのでしょう。福島原発の「あの日」以来なにがあったのか、東京電力・政府・メディアがどうであったかを克明に記した渾身のドキュメントである。頁をめくるたびに「現実の重み」に疲労をおぼえつつ、「巻置くに能わざるべからず」て感じで次の頁を繰らずにおられなかった。

さすがに大宅壮一ノンフィクション賞で、読後感の重いことと言ったら。私は別に反原発でも脱原発でもなく、産業人としてニュートラルな立場ではあるけれど。日本人としてあの場所で何が起きたのかきちんと知っておくことは大事なことだと思う。何も知らずに物事を批判したり聞いたふりをすることが、何よりもはずかしいことだから。


ヘビーにライトに本ばっかり読んでいると、他のことがおろそかになってしまう。この日は面倒だから昼メシは冷蔵庫の在庫をあさってなめこおろし蕎麦。スーパー大阪屋でひと玉28円の特売で買った蕎麦だけど、自作のそばつゆと相性よくて、なかなかの按配なり。


酒を呑むのをしばし節制しているせいか、朝から腹が減ってたまらん。ご覧の品々に、富山名産「イカの黒作り」なる塩辛とか、京都から取り寄せた西利の千枚漬けをそえる。ごはんもお代わりなんかしてしまうし。間もなく53歳ながら食欲旺盛とはめでたいかぎり。



ところで昨日の朝刊。富山の地元J2サッカーチーム「カターレ」がシーズン初戦を制したからって一面5段抜きはないでしょう。北海道の雪害とか、混迷するTPP交渉とか、世間には大事なニュースがたくさんあるでしょうに。いくら私が富山ケンミンだといっても、なんだかな、納得のいかない過大報道だ。


富山弁で「勝ってほしい」は「勝たれ」となり、それでチーム名が「カターレ」となった。「勝たれ」はラ行下一段活用の未然形であり、文法的には勝利を確約する言葉ではない。そんな間抜けなネーミングをするもんだから、このチームはホームゲームで22勝45敗などという、地元ファンを突き放すような戦績を誇っていたりする。

阪神タイガースが人気球団であるのは「甲子園では強い」ことが背景にある。カターレ関係者にはアウェーでの初戦勝利にのぼせることなく、ホームで勝つことをもっと真摯に考えて欲しいものだと思う。

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