麒麟の舌をもつ男・でーれーガールズ・ねこの秘密・大阪グルメ総選挙。10月前半のオモシロ本を。オロシ蕎麦など喰らいつつ。

10月はエライ月だった。仕事のトラブルを抱えて(こいつは11月に入ってもちっとも解決せんが)、さらに下期開始とともに始まる行事やらなんやらで西へ東へとよう移動したもんだ。

東京3回 大阪3回 金沢3回 会合(ゴルフ)3回 セミナー2回 ほとんど会社にいなかったような気がしています。しかし移動中に幾冊か面白い本に出会うこともできたから、多忙もまた幸多きことなのかもしれませんね。

「麒麟の舌をもつ男」は、死に行く人間への「最後のひと皿」を請け負う凄腕料理人が、かつて満州で編纂された世界史上最高の料理本を求めて、それも絶対的味覚を持つ自分の舌だけを頼りにさぐっていく料理サスペンスです。まあ面白いのなんの。「あ、あの本で見た」みたいは引用が沢山あって、それを当てるのも料理小説ファンとしては楽しい限りでした。


原田マハ「でーれーガールズ」はまもなく映画になるらしい。東京から岡山に転向した主人公が女子高と言う特殊?社会の中で地方に溶け込んでいこうとする物語。泣かせの名人原田マハだけあって、ラストシーンでは目頭が熱くなり、サンダーバードの車中だったのでちょいと困りました。

作中に出ている「岡山大学にすんなり合格した兄」って、やはり原田宗彦のことなんでしょうか?この作品はかなり私小説ぽいところもあったので気になるところです。


私はネコが昼寝している姿を見ているだけでも幸せになるほどのネコ好きであるけれど、それを学問にしてしまうほどの凄い人物もいたもんですね。九州の孤島で島に生息するネコの模様とか体格をすべて記録して「ネコ遺伝学」を極めてみたり。もともとが俊英競い合う「京都大学霊長類研究所」のご出身だからかな、分析手法が今西錦司から石毛直道につながる、京大人文研とよく似ているように感じられる。ネコの不審行為のウラが分かって、ネコ好きはますますネコが可愛くなる本なので、充分に気を付けて読まないと、気づいたら自分の家にネコを飼っていてしまった、なんてことになりかねません。


旅には途中下車なる楽しみがあります。北陸本線には粟津温泉・加賀温泉などの温泉郷があり、また長浜のような風光明媚あり。越前市の「武生駅」は言わずと知れた「越前おろし蕎麦」の名所でありまして、市内に名店が軒を連ねています。

中に就いて、駅から近い「お清水の里」なる古びた店を襲撃しました。ちなみに「お清水」と書いて「おしょうず」と読みます。これは福井県嶺北地方と、富山県黒部地方でしかつかわない表現で、北陸をはさむ両端での言語共通は、一度きちんと調べておきたいところ。


そうでなくても辛い、その名も「辛味大根」を荒おろしでおろしたあとに、店内に響く音から察するに、つけ汁と合わせてからミキサーで撹拌し、さらに辛味を増している気配。最近はやりの「エスプーマ」状態になっている。空気と溶け合ってそれはそれはワサビよりも辛くて、二日酔いなどイッパツで吹っ飛んでしまいました。


「こなもん屋うま子」シリーズは、さらに大阪のディープエリアへ突入し、今回は橋下徹をカリカチュアしたとおぼしき「大阪市長」が狂言回しに出てまいります。大阪が好きで大阪B級メニューである、お好み焼き・タコヤキ・串カツ・チヂミ・ナポリタンなどがお好きな方で、大阪弁にアレルギーのない方にはぜひにとお勧めします。サンダーバードの3時間半がとても短く感じられます。


ざっとこの辺までが10月上旬のオモシロ本で、後半からは津村記久子・西加奈子あたりが怒涛のように迫ってまいります。現代日本の女流作家はほんとに元気ですねえ。

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