「窓から逃げた100歳老人」に「家日和」そして景浦安武のモデルを探って。夏の読書録。

世界中で800万部を売ったベストセラー「窓から逃げた100歳老人」はたしかに一読置くあたわざるの傑作で、大阪へ出張した帰りのサンダーバードの車中、3時間半で身じろぎもせずに読みとおしてしまった。

モデルはノーベル博士でもあるらしく、主人公は爆破の専門家で何ケ国語も習得していて、おまけに毛沢東にとって恩人でトルーマンにとってまたとなき友人で、スターリンにとっては許さざる人間だったりして、近現代史のほとんどのシーンで不思議感なく顔を出す。

そんな人間が無一文になって老人ホームに収容され、100歳の誕生日に「好きなウオッカ者めない生活なんて」と、不自由な膝を動かしてホームの窓から脱走する。

あとは過去と現代がゴブラン織りのように交錯しながら、ギャングの金を持ち逃げするし完全犯罪でワルを葬り去るし。こ

これ以上書くとネタバレになるのでこれくらいにしておきますが、とにかくこの暑い夏、暑気しのぎにもってこいであることは保証いたします。しかも部隊が北欧だから読んでいるだけで涼しいし。


奥田英朗の短編集は例えば1980年代のヒット曲(70年代だったかもしれない)「別れても好きな人」を思わせるものから、ロハスブームに狂う妻を描いて、正義には勝てないけれどかなわんなぁ、と思わせるものまで、ああ人生ってこんなもの、と納得させる切れ味がありました。でもどれも湿っぽくないので、「疲れをとる読書」に最適かも。


つい先日に41年間にわたる連載を終えた野球漫画「あぶさん」には実在のモデルがいて、近鉄バファローズで酒仙打者として活躍した永淵洋三がそれに当たる。入団当時は日ハムの大谷びっくりの「リリーフ~代打~ライト~打者」を一試合で演じたりしている。それぞれにおいて一流であったところも凄い。なかなかの記録も残しているけれど、当時のパ・リーグはいかんせん人気がなく、たまに黒い霧事件の永易と勘違いされているのは本当に気の毒だと思う。引退後はサッサと野球を忘れて故郷佐賀県で焼鳥屋のオヤジに専念しているのも、いい意味でサムライで格好いい。


塩と砂糖と脂肪。この3つを過激に組み合わせることでアメリカの巨大食品会社は空前の繁栄を重ねてきた。国民の健康と引き換えに。と、この本の著者は主張しているようだけれど、食品会社のマーケティングのせいだけでアメリカ人が巨大化したとは思えないなあ。もともとの国民性もあるんじゃないか。なんて読みながら、スジャータの濃厚バニラアイスを食っているんだから絶対矛盾の自己同一そのものですね。


ゴルフ雑誌って読むだけで上手くなりそうなところがアヤで、毎号の特集はときに矛盾していて、「君だけのスウィングがある」と書かれた数ヵ月後に「スウィング理論は不変、ベン・ホーガンに学ぼう」なんてやりだしかねないところが、プロレス雑誌みたいで楽しい。といいつつ残り190ヤードが5番ウッドでいつもグリーンオンしたらほんとに嬉しいだろうなあ。


今月はお盆休みもあるし、月刊20冊を目標にいろんな本を読んでいくつもり。これはというのがあればまたご紹介いたします。

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