カダフィよどこへ。淋しい時代と思わないか。

スパイ小説とかシュミレーション小説とか、好きなんです。あり余る時間を持った独りもんなんで夜の帳がおりてまいりますと、さて今宵はいかがしたもんかと指の持っていきさきに悩むのですね。いちばんイージーなのは酒瓶とグラス。ボトルのむこうに桜木町の美姫でもいればもうなにより。しかし毎晩とはいかない。身体と財布が追いつかない。

軽く残業して、牛丼とか生姜焼定食とかのハラにたまるものを素早く摂取して、家に帰ってシャワーでも浴びてからスリル満点のスパイ小説などを読むのはオトナの楽しみであります。


クライブ・カッスラーの一連の作品などほんとに時間をうっちゃるにはええんですけど。カッスラーは自分一人で書いていた「ダーク・ピット」ものを3つの流れにわけて、3つのシリーズとして書きついでいます。独りじゃ大変と見えて編集プロダクション形式を取ってるようで。日本でいえばゴルゴ13のさいとうプロだな、さしずめ。
各作品はいずれも古代の財宝から、滅び去ったはずの文明の再発見とかの荒唐無稽なサプライズがあってその大胆な設定に驚きます。しかもそれにからんで私利私欲のために地球環境や文明を滅ぼしてしまおうとする悪党がいて・・・毎回上下2巻を手に汗握って読んでます。


ただかつての「ダーク・ピット」シリーズとちがうのは、悪党の品質低下なんですね。地球文明の存亡に関わるような環境変化をもたらす科学兵器を開発し、運用しようとする悪党がなんかせせこましくって。カネだけのためにそこまでやらんやろう、と思ってしまうんです。


ソビエト連邦当時のGRU(国家保安局)のイニシグニア。1980年代までは西側のスパイ小説家は鉄のカーテンの向こうにある不気味な国家を必要以上に悪の巣窟と想定して、いろいろ書いていましたものねえ。敵役もKGBとかスペツナズとか。無用に領土拡大を図ったり核戦争の引き金を引こうとしたり。

崩壊後は、すっかり資本主義化してしまいましたから。せいぜいロシアンマフィアがでてくるくらいだけど、国家的陰謀にはならないし。そんなこんなで「旧東側諸国」が敵役からしりぞいてからは、アラブ諸国が悪役をひきうけていました。サダム・フセイン、オサマ・ビンラディン、PLOアラファト議長などタレントもそこそこ豊富でしたし。しかるに近年、皆さん第一線から姿を消してしまって。


ご本人が「今ここにある危機」に瀕していますのが、向かって右の先生ですね。この先生もいろんなスパイ小説で影に表に悪役として活躍されてきたのですが、どうやら命運尽きつつあるようで。左隣の方も中々のキャラクターなんだけど暴力臭と陰謀臭があまり漂ってこないのね。現物は知りませんがあくまでもイメージとしては。貴重な人材がまたこうやって失われていく。スパイ小説ファンには淋しい時代と思いませんか。見るからに悪役って、いないと話が盛り上がらないんだもん。

富山県のすぐ北の先にある、不思議な半島王朝も主人公がいまいち国際陰謀ぽくないし。かつてのその宗主国は、華麗なスパイ合戦という感じじゃないんだなあ。人民解放軍ではねえ。やっぱりスパイには恰好よさも大事ですから。

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