長い夜。私の下半身。

秋になると日が落ちるのが早い、つまり夜が長い。日暮れとともに酒場へ通勤する生活をおくっていると「第一部 朝~夕暮」「第二部 夜~夜明け」って感じで、なんだか人生を2倍生きているみたいでお得感がいっぱいである。

のんきに生活していても世間の波は必ず押し寄せてくる。秋と言えば人事の季節。中央公論でさえこんな特集を組んでいる。普通のサラリーマン雑誌になっちゃいましたねえ。


先日文芸春秋社の「オール読物・秋の官能小説特集」を買って読んだのだけど、どこが官能なんでしょうか。ちっともコーフンしなかった。昔は父が買ってくる「オール読物」の阿部牧郎とか黒岩重吾の小説で鼻血が出そうなほど興奮したものだったが。日本出版界が衰退しているのか、自分の感性が加齢とともに磨耗しているのか。たぶん両方なんでしょう。

私にとって今の日本文学界は女流のほうがおもしろい。川上弘美にかかると熊と少女が散歩するだけで一級の社会批判小説になる。そんな社会派をさらりと書くかと思うと、女の子の「別れ」にまつわる気持ちのひとつひとつを、珠のように磨いてみせた短編集「ざらざら」は、リリカルでつややかで、そしてどこか切なくて。



漫画界の巨匠にしてエッセイ界の達人、東海林さだおも今や75歳となられ往年の「ぐやじい」とか「クヌヤロ~」とかが影を潜め、文章が淡々としたものになってきた。といって枯淡の境地と言うのでもない。要するに面白くなくなって来ているのだ。
週刊朝日の「あれも食いたいこれも食いたい」もたまに書店で立ち読みするのだけど、パワーの低下は眼を覆うばかり。日本出版界はこの巨人が醜態をさらす前にきちんと引退させてあげてはどうか。


さて、越中富山でゴルフを楽しめるのはもうあと一ヶ月ほどになってしまった。積雪でクローズするのは12月のクリスマス前くらいだが、11月中旬くらいから毎日のように冷たい雨が降り、その中でプレイすると確実に風邪を引くので、みなゴルフ場から遠ざかるようになるのである。

だからこれから数週間は追い込みに入ったペナントレースか選挙戦かといういきおいでゴルフが重なる。本日10月16日より10月31日までの15日間で5ラウンド。ほんとにゴルフの合間と酒場通いの合間に仕事をチョイチョイとこなしているような。


上の写真は富山カントリー神通5番ロングホールを食堂の窓から写したもの。左右OBで特にレフティの私が左の山すそに打ち込むと、なかなか斜面から脱出できなくなり、簡単にダブルパーを叩いてしまう。

著者近影。先だっての取引先コンペで「派手な格好して来てね」と要望されていたので、リクエストにお答えした。「わ~たしピンクのサウスポー」などと言われながらラウンドして、あいかわらず90は切れなくて。


スルーラウンドでゴルフして、そのあとに居酒屋で表彰式、さらに桜木町に繰り出すのが「富山スタイル」なので、朝早くから深夜までほんとに長い一日となる。ましてや週末がかかっていて翌日がお休みだったりすると、明け方まで騒いで午前4時頃に朝刊を持って帰宅することも一度ならず。


ゴルフ場と酒場と仕事と読書だけでなく、時には岩瀬の富山競輪場にも顔を出さないといけない。日刊スポーツ杯では5000円の投資に3000円の回収。少しはレースが読めるようになったのかまったくのオケラというのはなくなってきた。


先日取引先のお通夜の帰りに。「上袋食堂」にて。いつも吉野屋で牛鮭定食ばかり食っているわけではない。私の理想とする晩飯はどっちかというとフジオグループの「○○食堂」とかで、焼き魚におひたし、味噌汁とご飯といった伝統的和食なのである。ただ、富山じゃクルマがないと行けないから。よもやタクシーで定食屋に乗り付けるわけにも行かないでしょうし。


夜にしっかりご飯を食べたら酒は要らない。禁酒してたまっている本と取り組む。井上荒野は愛人を持つ父親とその家族を書かせると絶品。父親で作家の井上光晴は愛人騒動でずいぶんと家族を泣かせた人だからなあ。

「静子の日常」は、寡婦となった75歳の静子が、下戸の夫につきあって夫が息を引き取るまで飲まずにいた酒を、通夜の席でツイーっと飲んでみせて実は行ける口であることを周囲に指し示す。同時に静子は思う。これでようやく夫を愛することをやめることができるんだと。

老人が主人公の小説はずいぶんと増えてきているけれど、これはなかなかに「年取ることも楽しいかもしんない」と思わせてくれた本。


巨星堕つ。丸谷才一は私にとって開高健にならぶ「文章の師匠」であった。文学的素養がないから私は旧仮名遣いでは書けないけど、いろいろと模倣したりスケッチしたりしたものである。好きな作家や評論家が次々と亡くなっていく。「同時代性」がひたひたと彼岸へと押しやられているのを感じる。


あまり嘆き悲しんでいても仕方がない。高岡に仕事へ行った帰りにイオンモールに立ち寄って、かねてから欲しかった「ZARA」のスリムジーンズを買った。ウェスト31インチ(79センチ)だと、裾を切らずにそのまま穿いて帰ることができる。えへん、実は私は足が長いのである。記念としてここに下半身を公開しておく。


ちなみに靴はホームセンターで499円とかで売られている鳶職用のもの。現場のパイプの上を渡り歩きやすいように靴底がとても薄い。だから軽い。愛用しているけど欠点としてアスファルトの上を歩くとすぐに底に穴が開く。これも左つま先に穴があり、雨が降ると浸水する。タバコの火をもみ消したりしたらえらいことになる。

なので昨日、山室へ行くついでにホームセンター「ムサシ」に立ち寄り、予備を入れて2足を新調した。忙しい忙しいと言いながら、仕事ついでに何をしていることやら。

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