「いもや」の天丼は東京の良心だ。初夏の築地のマグロ丼。そして太宰治。

6月になってしまった。5月は出張回数5回で総出張日数が12日間あった。それにプライベート・オフィシャルを交えてゴルフが7回も。一体いつオフィスで仕事してたんでしょうねえ。

そして6月に入りこれまたいきなり東京なのである。仕事上の月始めである3日から。前月の数字を把握分析もせずに。これだから窓際管理職なのだな、きっと。


越後湯沢経由で東京へ向かう「とき333号」車上にて。ホームの自販機で売っていた「山形ラフランスゼリー」をシェイクしながら飲む、というか食べる。さらさらシャリシャリとしていて、大人のオヤツですな。


お江戸での仕事を終わらせて、東京本社の懐かしい面々と一献。深夜12時半に「ホテル東銀座ヴィアイン」にチェックイン。このホテルは筋向かいが築地市場なんで気に入っている。しかし、ホテルに持ち込む飲料が完全に初期高齢者だな。トホホ。


築地に宿泊する最大の目的がこれ。日本中の、いや世界中のマグロが集積する市場だからね。朝からこういう贅沢ができるのさ。「マグロ中落ちヅケ丼」1300円なり。朝から天然のDHAとEPAをしっかり摂取。しかし悔しいかなこんなマグロは富山じゃ手に入らんのう。


朝食後は東京本社に伺候して仕事の打ち合わせ。11時半ごろに終わったから「メシでもどう?」と誘われたけど「用事あるねん」と失礼する。

この日は不発弾処理とかで、11時~14時のあいだ上越新幹線・東北新幹線・京浜東北線が運休になってしまったのである。安部総理、まだまだ戦後は終わっておりませんねえ。

しかしおかげで2時間半の空白が発生したので、すかさず神田神保町へ。古本屋街に突撃である。
「機会は最大限に生かす。それが私のモットーだ」(シャア・アズナブル)というわけで。


古書街を1時間半もうろつくとハラも相当に減る。ここに来たときは洋食なら「さぼうる2」のスパゲティナポリタン、中華なら新世界飯店の冷やし中華、そして和食なら「天丼いもや」の天丼にきめている。

ガツンといきたかったので、朝食に引き続いての丼物を選択した。エビ・キス・イカに海苔が入って、江戸風の甘辛いタレがたっぷり。それにシジミのみそ汁がついて550円である。火傷しそうなぐらいにアツアツで出てくるのを、一心不乱にかきこむ。この味でこの値段が東京下町の良心であるとするならば、天ぷらが冷えるのを恐れてイッキに食べあげるのがその良心に応えるすべであろう。


しかし富山には一人前3150円の天丼を出す「天〇」という店があり、とにかくエビを乗せりゃあいいだろう、のノリでぐちゃっとした天ぷらをぎっしり並べてくる。元来が江戸のファストフードで、とにかく出来たての勢いをかっくらうのが天丼の本質だろう。おまけに庶民の満腹フードのはずである。
わたしは断然として「いもや」を支持するものである。


古本屋街では未読の作品がおさめられている「太宰治全集」を二冊と、木本至の「にっぽんはじめて物語」を購入した。若いころに熱狂を持って接した太宰治に、五十路を越えて触れてみると、これが案外といいものですね。青年のコンプレックスなんて可愛いもんだのう、なんて。

おまけに出版が古いので(昭和33年・私が生まれるより前だ)、前編が歴史的仮名遣いになっている。「斜陽」なんか新かなづかいで読んでもねえ。旧かなでこそ、太宰の息遣いが聞こえてくるってものですよ。政治家に国語をいじらせてはならない。



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