遊びつくす夏。原理主義者の麻婆豆腐とは。

50を超えると時間がたつことの早さに驚く。あれという間に定年がやってきて、気が付くと貧困独居老人で、ある日息絶えた姿が発見されるんだろうなあ。どうせそうやってみじめに貧しく死んでいくなら、せめて元気なうちは遊び倒してやろう。

そんな大決意があるわけじゃないけど、平日堂々と仕事をさぼって黒部へ。新幹線の待ち時間に富山駅1F「とやマルシェ」の一角にて。冷煎茶とイチジク入りの羊羹で、瞬間に暑気を忘れる。


標高400メートルの棚山ゴルフ倶楽部では、まだ山菜が取れるらしい。富山に住んだ頃は山菜採りに萌えた時期もございました。戦艦武蔵を狙うドーントレスのごとき凶暴なヤブ蚊に襲われながら急斜面を昇降するのは、さすがにしんどいし。狩猟本能の衰えですね。おまけに町の八百屋へ行けば都会じゃ信じられない値段で朝採れの山菜が売られているし。


ここ棚山GCはまったく奇趣に富んだコースレイアウトで「二度と来たくない」と言われる方もしばしばおられるとか。私は性質的にドM系なので、一打一打が面白くて、何度でも挑戦したいコースです。今回も100ちょうどでホールアウト。どっかで叩いてしまうんですね。


7月アタマの某日は会社の創立記念日だったので、総曲輪の「芙蓉餃子房」にて富山営業所員全員が結集して祝宴を。上期の予算達成も見えてきたので、前祝も含めて。ここの2色鍋はなかなかに深いものがあります。


白いスープが豚骨系で、赤いスープはしっかりと豆板醤やら何やらが仕込まれた発汗必至の四川系です。店主母娘が成都出身なので、頼めば情け容赦ない本格四川料理が出てくるらしいが、わたしのごとき味覚麻痺系ドM系の辛口至上主義者が結集しないと、一般ピープルには「食べられるもん何にもあらへん」なんてことになりかねない。


というわけで麻婆豆腐も「マイルド」にてお願いした。いずれ同志を糾合して四川省成都市は「陳麻婆豆腐店」の、観光メジャー化以前にあったマルチプル絨毯爆撃系を作ってもらおうと決心している。
25年ほども前になるか。「陳麻婆豆腐店」と木の板に墨書されただけの、まるで工場のような入口を入ると、タイル張りの「食堂?」って感じの空間の、真ん中には直径1メートルはあろうかというせいろが置かれて、蒸した白飯がとり放題になっていたっけ。
そいつを好きなだけ丼に入れて、カウンターで糧票とひきかえに麻婆をドロリとかけてもらう。メニューはそれだけ。舞寄るハエを追い払いながら、カッカッカッと掻き込むと、山椒の引き起こす「麻」はまさしく「麻酔」の「麻」であるほどで、口内の神経が機能を停止したかに思えたものだ。そこへ地場の唐辛子が原理主義的に「辣」をまきちらす。辛さというやつは味覚でなくて痛覚で、麻酔を打ちながら左右にビンタを張られるような、まあたまらん食べ物でした。
豆腐を山椒(花椒)と唐辛子粉でくるみこんで、豆板醤でつないだだけ、みたいな今の日本で食べられているのはいかなる修正主義の落とし子かと思われるほどで。早く同志を再結集させて試しに行かなくちゃ。


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