1978年 白いページの中に

1978年4月に私は同志社大学文学部哲学倫理専攻科なるところへ入学した。同時に親元を離れて爾来33年間、いっときを除いて故郷に定住していない。3分の1世紀をかけて京都~神戸~大阪~富山と渡り歩いてきたことになる。




人の精神史において、礎石となるべき年があるとすれば私にとっては1978年がそれにあたる。兵庫の片田舎の高校から文字通り上京(同志社は京都だから)して、しかもクラスメートは奇人変人ぞろいの哲学科。アタマの中身がゲシュタルト崩壊してしまっても仕方ない。


良きヒトの子であった私はこの年を境にして、怪しきアナーキストとしての人生を歩み始めたのである。


1978年の出来事。
【政治・社会】
5/1  過激派による管制塔不法占拠などを経て、成田空港が開港
6/2  日本航空115便が尻もち事故。この機体が7年後の8月12日に御巣鷹山に墜落する
6/12 宮城県沖でマグニチュード7.4の地震  
9/30  京都市電廃止 以後地下鉄完成まで幾年かかったことやら
12/7  第1次大平内閣発足


見習え。管直人

大平正芳は、三木内閣時代に大蔵大臣を務め、20年ぶりの赤字国債を発行してしまったことをのちのちまでに悔やんでいたという。国家財政の赤字体質が何をもたらすかを先見していたのだ。消費税は財政健全化のための秘策であった。しかし後継者の中曽根康弘は、バブル経済の中で税収の永久拡大を夢見て、大平の思いを踏みにじり、財政拡大の大愚挙に出てしまった。以後わが国の凋落ぶりは皆様のよく知るところ。


【芸術・文化・スポーツ】
・プロ野球 セ・リーグ ヤクルトスワローズ初優勝
・プロ野球 クラウンライターライオンズを西武グループが買収 
・サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」でデビュー
・キャンディーズ、フォーリーブス、南沙織が引退


当年57才


ヒット曲
・サウスポー、モンスター、透明人間 ピンク・レディー
・HERO 甲斐バンド




・宿なし、銃爪 世良正則とツイスト
・頬笑がえし キャンディーズ
・時間よ止まれ 矢沢栄吉
・乙女座、プレイバックPart2、いい日旅立ち 山口百恵
・Mrサマータイム サーカス
・かもめが翔んだ日 渡辺真知子
・飛んでイスタンブール モンテカルロで乾杯 庄野真代
・季節の中で 松山千春
・リンゴ殺人事件 郷ひろみ&樹木希林
・サムライ、ダーリング、LOVE 沢田研二
・たそがれマイラブ 大橋純子




・みずいろの雨 八神純子
・夢想花 円広志
・時代遅れの恋人たち 中村雅俊
・与作 北島三郎


(文学)
芥川賞 高橋揆一郎 「伸予」 高橋三千綱 「九月の空」
直木賞 宮尾登美子 「一弦の琴」 有明夏夫「大浪花諸人往来」


(テレビ)
・NHK 大河ドラマ「黄金の日々」
・NTV 「西遊記」「熱中時代」「ゆうひが丘の総理大臣」




・TBS 「ムー一族」「ザ・ベストテン」
・CX  「白い巨塔」「大空港」
・ANB 「暴れん坊将軍」


芸能音楽の世界では、この年に現在のJPOPまでつながる原型が揃ったような気がする。私にとっては八神純子のデビューは鮮烈で、アイドルでもなく歌手でもなく「シンガー」とはこういったものなんだと教えてくれた存在。本人は「ザ・ベストテンに出るたびに久米宏から体型・服装・メイクについてアレコレ言われたのが嫌だった」とか。


ヒットソングを見ていると、ヤマハのポプコン出身が多いこと。八神純子、世良正則、渡辺真知子、円広志と。また、33年もたつのにいまだに現役の方も。


この年の第15回ポプコンで入賞した歌手に「柴田まゆみ」がいる。「白いページの中に」の1曲だけがひとびとの記憶に残った。私も折にふれては聞き返す。とりあえず、サビの部分だけ。


長い長い坂道を
いま 登ってゆく
好きだった海のささやきが
今は心にしみる
よみがえる午後のやすらぎも
白いページの中へ
http://youtu.be/y-ZkE0Ue5VE

唄は顔にあらず

ピンク・レディーや高3トリオ(森昌子・桜田淳子・山口百恵)には、戦後から高度成長にかけての日本がもっていた「貧困」をバックにした「無理・背伸び」が感じられたけど、ポプコン出身でのびやかに歌っている彼氏彼女たちには、そんな影がない。「キチキチ一杯・キンキラキン」から「ゆとり・センス」へと時代が移る中で、私もすこしオトナになろうとしていた。

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