これがエヴァンゲリオン(福音書)だァ

イェシューさまは言いなさった。
「お前達(おめァだぢ)はやっぱり馬鹿(ばが)が? わがんねァのが、この事(ごど)が?



岩手県大船渡にある「イーピックス出版」は気仙沼語で訳された「ケセン語訳新約聖書」を出版し、1万部を発行。ユニークな地方出版社として注目を浴びた。


著者の山浦玄嗣(やまうらはるつぐ)は1940年東京生まれながら釜石市・気仙郡で育った。東北大学医学部(北杜夫といっしょやん)を卒業後、同大学大学院で医学博士、東北大学抗酸菌病研究所放射線医学部門の助教授。



専門の医学のかたわら、気仙沼地方の方言「ケセン語」の研究を重ねて、「ケセン語大辞典」「ヒタカミ黄金伝説」など関連の著書が多数ある。

このたびの大震災でイーピックス出版の母体である大船渡印刷も被災し、印刷機器は津波に流され倉庫は押しつぶされた。従業員に給与を払うメドもなく、社長以下暗澹としたという。しかし高台にあった社長宅にプレハブに工房を建て、手作りで仕事の再開が始まった。


倒壊した倉庫に水につかった聖書が3000冊あまり発見されがものの「これじゃ売り物にならない」とあきらめていたところ、全国のクリスチャンたちが応援の手を上げ「水潜りの聖書」と銘打って通販をはじめた。ちなみに「水潜り」は「洗礼」を意味している。私も受洗後の一冊を申し込んでいるので届いたら家宝とするつもりである。


さて本題に戻す。私がこの本を知ったのは数週間前の毎日新聞書評欄であった。池澤夏樹が激賞していて欲しくなったのだけど、一般書店とかアマゾンにはなく、直接版元に注文するか聖書専門店(富山にはなさそう)でしか購入できなくて、入手に時間と手間がかかった。


日本の幕末〜明治頃の日本語で訳されていて、イエス(イェシュー)様はケセン語でお話しになるし、裏切り者のユダは山口弁をあやつる。ファリサイ衆は武家言葉。ヘロデ王は大名言葉で、商売人は大阪弁、サマリア人は山形県庄内方言。ガリラヤ人は津軽弁という具合に使い分けて、当時の国際都市であったイェルサレムの雰囲気を出している。イェサレムの人々は京都弁である。

イェシューが捕吏に搦め捕られ、12人の弟子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。ペトロは逃げた先の中庭で腰を下ろしていた。



「たしか、あんたはん、あのガリラヤのイェシューたらいうやつといっしょにいやはったやろ?」
「お前さんが何ィ語ってるんだが、おらにはさっぱりわがんねァ」

(ペトロは三たびイエスの弟子かと誰何され、その都度大きく否定した。折りも折り、鶏が
を告げた。ペトロは)

「鶏っこが時をつぐる前に、そなたは三回、この俺を知らねァってかだる(語る)」と言いなさったイェシューさまの言葉を思い出した。

といったぐあいに「マタイによる福音書」が展開していく。「ガリラヤのイェシュー」では。マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの四つの福音書が「よきたより」として所収されている。私はここ数日、深夜に酔余の態で帰宅しようとも必ず幾ページかをめくり、面白がりながらも魂の洗濯をしているのである。

コメント

このブログの人気の投稿

二日酔いに劇的効果(個人の感想です)オロナミンC。一年計画で歯医者へ。麺類は続く。

揺れない富山

牛鮭定食万歳。自宅で吉野家の味を再現。