My working style.

尊敬する実業人、故安藤百福さんのお言葉に「仕事を戯れ化せよ」というのがあった。その真意はともかくとして、都合よく解釈するのが私のいいところである。楽観主義なのか楽天主義なのか。

で、富山競輪場である。世間はお盆休みながら、この鉄火場がここ数日の仕事場なんである。年に一度の富山記念競輪で、S級のスター選手が多数この地へやってきている。できることなら、銘酒立山や満寿泉、氷見牛のステーキや甘エビ白海老で選手を慰労したいところだけれど。残念ながら競輪選手は4日間の試合の間、携帯電話すら持ち込むこともできずに宿舎に閉じ込められる。外部との接触を一切許さない。八百長防止のためながら、厳しいことである。



お仕事で現場に行っている私なんぞはお気楽なもので、富山競輪場に対する交際費だなどとうそぶきつつ、ひそかに車券を買ったりしている。午前の3レース、いずれも三連単で計15枚の車券を購入して、第3レースの1枚だけが的中した。投資3000円に対して回収1840円なり。

広い競輪場をうろつくのはいい運動になる。また、カンだけで車券はあたらず、細かい研究と判断がいるから良い頭の体操になる。いちにち遊んで、車券を100円単位で購入すれば、ざっと3000円もあれば楽しむことができる。座りっぱなしで、瞬時で一万円が飛ぶ、パチンコなぞより余程健全である。定年リタイア組の娯楽としてこれに勝るものは少ないのではないか。




歩き回るとハラが減る。とりわけ現場仕事の時はいつも以上に食欲が増進する。ここに来ての昼食はいつもこの「的中おむすび屋」を利用することにしている。場内で最もアクセスの遠いところに立地しているものの、なにしろ富山県なのはな農協の誇る銘柄米、「八丁米」の炊きたてを、注文ごとにおばちゃんが心をこめて握ってくれるのである。



本日のメニューはきつねそばと海苔佃煮のおむすび。いささかばかり固めに炊きあげられた米の味がたまらない。口をあんぐりと開けて、喉いっぱいに押し込んでやる。コメが喉をくぐっていく快感を確かめたのちに、ちょっと下品なほど雑節の旨みがきいたそば汁が追いかけていく。鉄火場ならではのせわなしなくも絶妙なる味のシンコペーションである。


メニューのネーミングも凝っている。本命汁・逃げうどん・捲りうどん・差しうどん・地脚そば・番手そば・自在そば と、いずれも競輪専門用語である。調理場では「捲り一丁」「逃げ二丁」などとやっている雰囲気である。周りが騒々しいせいか、はっきりとは掛け声が聞こえてこないので。




記念競輪と言うことで、様々なイベントも仕込まれている。コンピューターを使った疑似バンクスプリントレースの「ゴールドスプリント」や、タレント(今日は栗田貫一)のトークショーなど。また、売店では選手のユニフォームにちなんだ9色のかき氷や、東京麻布の人気シチュー屋の出店、氷見うどんに、氷見牛ステーキ串まで。明日から三日間、日参しなければならないのだが、昼食のバラエティーに困ることだけはなさそうである。




地元「北日本放送(KNB)のラジオ番組「ご近所ラジオKNB」が、生中継をやっている。富山弁と標準語を巧みに使いこなす人気キャスター、鍋田恭子アナと相棒の上野アナ。この番組では、県内でも微妙に違う方言の比較検討やら、変わった風習の紹介にも熱心である。だから私のような外来者(こちらでは「旅の人」と呼び慣わす)にとって、良質の情報源であり、外回りの営業車のなかではいつも愛聴している。敬愛するパーソナリティーをナマで拝見して、まことに幸福。

しかし、一体いつ、どこで、仕事してるんでしょうねえ。私って。」

コメント

このブログの人気の投稿

二日酔いに劇的効果(個人の感想です)オロナミンC。一年計画で歯医者へ。麺類は続く。

揺れない富山

牛鮭定食万歳。自宅で吉野家の味を再現。