リリカルな秋の過ごし方

高田郁の「みおつくし料理帖」があまりに面白かったので、シリーズ既刊本の4冊をあっというまに完読してしまった。きっと続巻が出るたびにわくわくしながらamazonのサイトにアクセスするんだろうな。

巻末に、物語を盛り上げる料理のレシピが出ているのも素晴らしい。そのうちに自家薬籠中の物にしてやろうと思う。あの時代にあのレベルの料理屋で、文中に出てくるほどに鰹節や昆布、更に醤油や味醂ををふんだんに使えたとは思えないけどね。でも時代劇ってのはある種過去に向けたSFだから、その辺はなんでもありか。私は関西人のはしくれとして、初鰹を「たいしたもんじゃない」といいたげなところなんか、気に入ったなあ。

池波正太郎の「剣客商売」「鬼平犯科帳」も、それぞれ料理シーンがいかにもウマそうで食欲をそそるけど、私見ながら作者が頭の中で創造したメニューが多いと感じられるし、調味料や出汁を今風に按配しても、いざ実作してウマいかどうか疑問がのこる。




後追いして、プロがなぞった料理本も幾多出版されているけれど、レシピの組み方に無理を感じてしまう。これは池波さんが悪いんじゃなくって、あの時代の作家がほとんど自分で包丁を握ることなく、アタマの中で味覚を構成したからしかたがない。男子厨房に入らずの時代だしね。


これまた一読するたびにコーフンの一夜をすごしてしまう、クライブ・カッスラーの新作。オレゴンファイルシリーズは、NUMA関連のものよりさらに荒唐無稽になってきて、面白いのなんの。

一読措くをあたわざる展開で、2010年の世界と1860年代の世界が交差する。相変わらず結末が強引で、happy to lucky ないかにもアメリカ通俗アクションだけど、そこまで引っ張られる数時間がいいのです。



読書の秋、スポーツの秋。越中に蟄居してウィスキー相手に本ばかり読んでいるのもいかがかと思うので、兵庫県宝塚市のスポーツニッポンカントリーで昔の仲間と。アウトこそ何とか50でまとめたものの、インコースOBを連発し、9ホールで7OBの怪挙をなしとげてしまった。なんと62。チーム戦の敗北はひとえに私にございます。陳謝。その後の宴会がもう大変。退職祝いやら還暦祝いやら。

大兄様、十六夜汲み湯葉美味しうございました。大姉様、土瓶蒸し美味しうございました。幸吉はすっかり疲れてしまいました。明け方まで呑んで歌って。




かえりのJR(新幹線米原駅経由北陸本線)では、和田はつ子の「料理人季蔵捕物控・悲桜餅」と続巻の「あおば鰹」を読む。こっちはテレビ版必殺仕掛人の料理バージョンか。もと侍の季蔵が、表稼業は達者な板前、裏稼業は・・で、江戸の暗黒をえぐっていく。これも退屈しない構成力で、時間を忘れるけれど、「みおつくし料理帖」のリリカルさがないんですね。

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