駅弁マイライフ

本社のある大阪と赴任先の越中と、仕事やらプライベートやらでだいたい月に2往復ほどをくりかえしている。今月はいろいろあって4往復した。サンダーバードで片道3時間半強を要する。




時分どきを挟んでの移動も多いので、職業柄冷たいご飯は嫌いなんやと言いつつ、止むを得ずに駅弁にて昼食とすることになる。むかし師事した得意先の広報課長(当時)が、エッセイに「北陸本線は駅弁の宝庫である」と記していた。敦賀駅の焼サバ寿司、福井駅かにめし、金沢駅おにえずし、富山駅はますのすしと。

北陸路を辿ることなんか、四半世紀前は滅多になかったから「そうか、そんなにウマい弁当が揃っているんか」と思っていたけれど。実際に日常的に北陸路を往還するようになると、それは一見の観光客の発想にすぎなかったと理解した。




ますのすしは美味しい。おにえずしだって中々のもんだと思う。かにめしも然り。でもねえ、おんなじ味ばっかり食べるって結構苦痛になるんやなあ。年に数回の旅行で、いろいろ買って仲間とつつきあうならともかく。





松村雄基じゃないけれど、常食化をまぬがれない人種にとって駅弁はやはり幕の内にとどめを指す。あれこれのオカズがないとねえ。淋しいじゃん。車中ではアルコールを嗜まないので(どうにも身体がだるくなるんで)、お茶とともにいただく。こと弁当になると恐るべき早食いなので、ものの5分もあれば片付いてしまう。これは職業病なんやなあ。

上の写真は富山県「源」謹製の幕の内であります。これは、やや小ぶりのサイズに700円という手ごろな値段もあって味ももちろんよろしくて、北陸路ではイチオシのもの。90点を差し上げる。

いつもギリギリのタイミングで列車に乗り込んでしまうので、駅の売店にて弁当を吟味することはほとんどない。車中で売りに来るモノを買うだけであります。列車によって積んである幕の内は異なっており、ナニにぶつかるか、退屈な車中ではスリリングなイベントでもあるのですね。





あたりまえの幕の内と言ってしまえばそうなんだけど。敦賀駅「塩荘」謹製の「角鹿(つぬが)弁当」。これは、なんか敦賀名物でも入ってるんじゃないかと思わせるネーミングと掛け紙ながら、中身は全くの平凡太郎君なんですな。まずくはないんだけど、車内販売でこいつに出くわすとなんだか一食ソンした気分になるんです。中身を按分すると900円は高いか。65点。




ごめんなさい。大友楼のHPから引用しました。「加賀彩時記」はさすがに金沢の名料亭大友楼のブランドで売るだけあって、繊細な味付けが魅力ですね。1100円はちょいとお高いですけど。加賀名物の治部煮とか、細工した高野豆腐とか。車中では飲まないことにしてるんやけど、イッパイ欲しくなる弁当です。85点。





加賀温泉駅「高野屋」の「特製幕の内弁当」700円なり。どのへんが「特製」なのかわからへんけど、食べ飽きのしない弁当なので、車販で出会っても失望感はない。でも「源」ほどのワクワク感もないんやなあ。75点。





福井駅「番匠本店」の「ままごっつお弁当」1050円。ご飯は2ブロックに分けられており、片方は笹巻きの季節ご飯となっている。秋のシーズンだと栗おこわに。冬場はかにめしになる。量的にはけっこう満足のいくもの。ただ巨大な天麩羅がいつも油が切れきってなくて、どうにもコロモが重いのが欠点か。私は、このぼってりした袱紗のごときコロモを剥いで食べてしまう。75点。

鉄路北陸を旅していただくと、JRサンダーバード車中では上記5種類の幕の内のいずれかに遭遇することになります。私など、どれを購入せざるを得ないかでその往還における、幸不幸を占っているようなフシがありますな。


北陸本線をもう少し北上して、上越線にまで遡上すれば私が幕の内弁当の最高傑作と呼んでいる、
新津駅は三新軒の「鮭の焼漬弁当」があんがですが(富山弁やんけ)、鉄路はつながっているのに、こいつを買うには上越新幹線に乗らんといけんがです。最近東京出張ないもんなあ。




冬を迎えると、湖西線が強風のために通行不能になる日が増えてくる。サンダーバードの1・2時間遅れくらいは日常茶飯事になる。だから、冬場は北陸本線経由で富山~米原間を「特急しらさぎ」で、米原~新大阪間を東海道新幹線でと、乗り継いでいくことにしている。往復で2600円余分にかかるのが欠点。しかもこの経費は会社が負担してくれないんで、自腹やねん。殺生な話やん。




でもまあ、米原経由だと井筒屋謹製の「湖北のおはなし」を購入できるっていう特典が付くし。これは滋賀県が誇っていい逸品やねん。怪しげな風呂敷包みに入ってるけど。サイコロの中はキャラメルじゃなくって醤油味の飴。粗挽き胡椒で仕上げた鴨ロースがイケます。






越中富山へ引っ越してきて、はや一年と一カ月が経過した。つまらんことも多々あるけれど、毎日が面白くないわけではない。2度目の冬も、何とか面白がって過ごしたいものでありますね。こうやって駄文でもつづりながら。

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