いやな予感は的中する

昨夜は富山駅前・桜町の串焼き屋で、クルマ社会の富山ではあまりない「会社帰りに仲間と軽く一献」をやっていた。カウンターの眼前に小型の液晶テレビがあって、中継終了後の日本シリーズを日本テレビG+のケーブルだかスカパーだかの映像をうつしていた。日本ハム先発の藤井は打ち気に逸る巨人打線を手玉にとって、左投手ならではのクロスファイア気味のストレートと切れ味のいいスライダーを駆使してクレバーな投球を続けていた。巨人ファンと思しき店主は藤井がスコアボードにゼロを重ねるたびに無念の呟きをもらし、アンチ巨人の私といたしてましては、落ち込む巨人ファンを見るほど楽しいことはないので、同僚との仕事の話はちょいと受け流しつつ画面に集中していたのである。

藤井投手は一昨年までヤクルトスワローズにいて、プロ野球のピッチャーとしては小柄な公称175センチの身長ながら、意外なスタミナを持ち、コンスタントにローテーションで勝ち星を挙げるタイプではないけれど、年に数回、大仕事をやってのける「意外性の男」であったと記憶している。
小気味いいピッチングはイニングが更新されるほどに老獪の域を深めていく傾向にあり、ああ幾度わが阪神タイガースが手玉にとられたことか。彼のパ・リーグ移籍こそは古田元監督の功績であり、この人は自分より賢い選手に「あんた実はアホなんとちゃうか」みたいな視線で見られることを怖れてあえてこの頭脳的技巧派の、ヤクルトの伝統としてはすぐれて安田猛の衣鉢を継ぐミラクルサウスポーを放出したのではないかと邪推しつつも私は大いに喜んだことだった。ちなみに安田も藤井も早稲田出身である。

いやな予感が全身を走ったのは8回の表、90球を越した藤井に代打が送られたときである。梨田狂せりと思った。同時に原辰徳はこの瞬間に勝負の流れがこの日初めて巨人軍に来たことを感じて歓喜したことだろう。梨田は、ピッチングコーチと藤井の交代を相談する姿を祈るような目つきで覗き込んでいる原辰徳の視線を感じるべきだったとおもう。どうせ今年ふたたび藤井がマウンドに登ることはありえないのだから、ここは「たのむ、腕が折れても投げきってくれ」といくべきだったのではないかなあ。

9回の打順は、亀井・谷・阿部でこれは今年の阪神タイガースクリーンアップトリオを凌ぐ破壊力を持つ。まちがってもこの連中が打ち気満々気合充分のところへ、半端なストレートを投げ込んではいけない。とりわけ阿部慎之介には。

コトが済んだ数分後、私は同僚との仕事話に復帰し、サラリーマンの実らぬ愚痴は日付が変わろうかと言う時間まで続いたのである。

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