陶淵明によせて

「飲酒」 陶淵明 青木正児訳をアレンジ

衰栄無定在 彼此更共之
小生瓜田中 寧以東陵時

寒暑有代謝 人道毎如滋
達人解其会 逝将不復疑
忽与一觴酒 日夕歓相持

人生浮き沈みに法則なんてありゃしない
彼と我のかわるがわるなんて、たがいに偶然のもんさ
まあ向かうところ敵無しなんて時分があったなんて、もう思い出せもしないよ

寒暑は交代するもの
人の道だっておんなじことだからね
おれみたいに達人ってやつはその道理を知ってるんで
そんなことがあったって、たぶん平気な面をさげていられるのさ
でも、やりきれないこともあるから今日も一杯だけ呑んでおこうってことで
夕方になるとイソイソ酒のある場所に赴いていくってことなんだね

秋菊有佳色 育露綴其英
汎此忘憂物 遠我遺世情
一觴雖独進  杯尽壷自傾

日入蠢動息 帰鳥趨林鳴
哨倣東軒下 聊復得此生

秋になって菊がいい色で咲いている
露に濡れながらその花房をつんで
この憂いを忘れさせてくれる霊薬をそう一杯の酒にその菊花を浮かべて
我が憂き世を忘れて、あるかなきかの人の情けに思いをいたして
でも今夜も卓上の杯はひとつだけ、ひとり呑んでいるだけ
だから呑めばボトルはかしいでいくばかり

日が沈んで夜も更けてあたりに動くものなんかありゃしない
ねぐらに帰る鴉は低く長くその声をのばしながら山へ向かって飛んでいったし
あけがたになって、軒先に夜明けをながめひとり唄などくちずさみ
しがらみもない独り者になってしまったな、とちょいと正気にもどったりするのさ

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