モスクワは涙を信じない

子供のころ、大阪万国博が訪れた時分には21世紀はバラ色に輝いていた。世界から戦争はなくなり、国境と民族の壁は取り払われ、人々は理性を礎にした生活を送り科学は人類の悩みをなべて放逐してしまうはずであった。

当時小学館から発行されていた「未来の図鑑」が実家の物置に残っておれば、40年前の日本人が描いたユートピアがいかにオポチュニスティックなものであったか立証できたであろう。

夢の社会主義国家であったソビエトはプレ資本主義国家に成り果てた。欲望と抑圧がよりナマな姿で展開されてしまっている。その結果が本日の自爆テロなのだとしたら。

今日19時過ぎに会社を出たとき、駅前にあるコカコーラのネオンは「摂氏2度」を表示していた。真冬の寒さである。昼過ぎにはいっとき吹雪いてさえいたのだ。とても弥生三月の末とは思えぬ。まるでモスクワやんけ、と駅前のスーパーに立ち寄って晩餐の買い物をして帰宅し、この悲しいニュースに触れたのである。昔見た映画のタイトルを思い出した。「モスクワは涙を信じない」


10m先が霞んだ昼間の吹雪


しかし厭世的になってばかりはいられない。明日のために身体に活力をたくわえないと、窓際サラリーマンと言えども生存権が脅かされる。寒さに打ち克つチカラを我に。

本日の買い物リスト。
・粉末鶏ガラスープ ・富山産豚肩ロースしゃぶしゃぶ用170グラム ・レタスひと球 ・ソーダ2本
・四川風唐辛子調味料 ・玉子半ダース ・薄揚げ ・茄子3本 ・キリンラガー缶ビール1本 ・生そば3袋 以上2339円なり。

あまりの寒さに、生姜風味の中華鍋をこしらえたのである。湯でといた鶏ガラスープに牡蠣油と唐辛子調味料を加えて、燗冷ましの酒を入れ、チューブ入りのおろし生姜をこれでもかというほど溶きこんでおく。レタスは洗って適当な大きさにちぎって。茄子はピーラーで皮をむいて、細長く6等分。土鍋にスープを沸かして、しゃぶしゃぶの要領で食べるだけ。準備時間は15分。


簡単至極でも美味


まあ、ビールによし水割りの焼酎によしでテレビ期末番組のバラエティなど鑑賞しつつ楽しい夕餉となったわけでした。あったまることは無類で、豚の脂を吸って生姜の辛味をまとった茄子がこたえられない味となっていた。肉の半分を残して満腹に至る。まあ肉の残りは朝餉としてカレー蕎麦に薄揚げとともに投入されるか、タマネギとともに味噌汁に化けるのである。いずれも朝の訪れが楽しみになるほどの美味なのだ。ささやかな喜びは平板な生活を過ごす上でかかせないアクセントとなる。大事にしたいものである。

日常の平和は「黒い未亡人」の自爆によって破られることもあるし、信じた者の裏切りで均衡を崩されることもある。還暦近くなっても愛の歌を唄っていたアーティストが薬物乱用で逮捕され、信じるものの支えを失った人たちもいる。大きな悲しみも小さな悲しみも予期せずに訪れる。

「泣くが嫌さに笑い候」 昔のひとは偉いものである。せめてあったかいものでも食べて笑っていれば近いうちにいいこともくるに違いないからね。

コメント

  1. 甘きであります!2010年4月1日 0:32

    小生、独身に近いこの生活を改善しようとつくづく勉強させられました。

    たまごは好きですが、ダース買いは腐らせるので避けておりましたが、自炊もやってみようと思ったのでありました。

    しかし、富山の吹雪恐るべし。。

    来週木曜に前入りしますが、吹雪でないことを願うのでありました。

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