進化の多様性 於:越中

神が進化という恐ろしく時間のかかる種の変容を主催することにあたって、人類に二足歩行の特権を与えたことは、あらゆる獣類とヒトを峻別し、支配被支配の関係性を築く礎となった。完全なる二足歩行は両腕を自由に使えることを保証し、地球上で随一武具を操ることのできる生きものにしたのである。

およそ緩慢なる進化の道のりで、そのエネルギーの動きにに流されることを肯んじることなく特異な進化をとげようとする変種が必ず存在する。おなじ霊長類の出自でありながらあえて樹上生活を選択し両腕と鋭利なツメに進化をあずけてしまったナマケモノなどがそうである。



越中の地でもそうであって、神が付与してくれた二足歩行の特権を放棄している神をも怖れぬ異類を見かけることしばしばである。わずか300mの距離でも歩くことを恥として、クルマで移動しようとするのである。歩いたらわずか5分やんか、みたいな距離でもエンジンキーを取り出してクルマを起動しようとするのである。

自転車に乗り換えようとするならまだ事情はわかる。二足歩行と二輪走行はいささかの不安定性があることで類似している。思へらく、四輪のクルマにすぐ乗りたがるのは数万年前の四足歩行時代の記憶がなせる業ではないのか。安全・安定・快適。貯蓄好きで健全な富山県民には、リスクの多い二足歩行より四輪=四足歩行の方が心理的に落ち着くのかもしれない。

でもね、歩かないと見えないことも多いのです。相対スピードがゆるやかなほどに網膜に焼きつく画像が増加する。そんなところでたまたまに見かけるディテールにえてして真実が隠れているものなのである。

環境モデル都市を標榜する富山市は、3月20日から登録制自転車共有システム「シクロシティ」を開始する。お役所仕事だけあって、事前登録は面倒だし使い勝手もWEBサイトで見る限り本当にわかりにくい。ネットを使えない人間には「来るな!」と言わんばかりのシステムである。

二足歩行と二輪走行を忌避する、進化の異種である市民県民が再び二本の足で立とうとするのか、市長のお手並み拝見といこう。

コメント

  1. 甘きであります!2010年3月8日 23:12

    小生、備後の国と讃岐の国(正しい!?)の企業戦士のために、越中通信録をなかなか読む時間がありませんでした。

    ナマケモノになりたい。

    ああ、しかし、なんと読み応えのある文章でせう。

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